マクベスのストーリー紹介のページでちらりと話したと思うんですが。マクベスのお風呂のそばに大量に撒かれた手紙の話です。(※2019年当時の演出です。コロナ前はマクベスの風呂場に手紙が大量に撒かれていたんですが、今では撒いてないです。多分、ダンバースさんがセットする手紙のみだと思います。)
お風呂の床に大量に撒かれているので一枚や二枚持って帰って来ちゃっても大丈夫だと思うんですが。(え)私は英会話の先生と一緒にこの手紙を読み解きました。ネイティブの先生でも結構しんどかったです。筆記体で読み難いってのもあるんですが、古い英語で書かれてるんです。内容的には「マクベス」からマクベス夫人へ書かれた手紙でした。戦勝報告と魔女に会って「お前は王になる」って言われちゃった💗……って言う内容の手紙で、かなり上機嫌なウキウキと書かれた手紙なんだそうです。これ、「本人からの手紙」だったらなんと微笑ましい手紙でしょう。しばらく会えない愛する奥様へ、戦場から書かれた武将の手紙ですものね。
ところが私、観ちゃったんですよね。
電話ボックスでポーターとダンバースがひそひそ話してて、「ポーターが」ダンバースにこの手紙を渡しているシーン。百歩譲ってポーターが書いたものではなくて、マクベスが書いてその手紙が何故かポーターの手に渡っていたとしても……です。(私は百歩譲ってないんですがｗ。ポーター自身が書いたのではないか？と推測しています。)
そして。その次のシーン。
ポーターからもらったその手紙を受け取ったダンバースをフォローしてびっくり。その手紙を持って、誰も居ないマクベスの風呂場へ行き、風呂の蛇口の所にその手紙をそっと置いていたんです。「えっ…＠＠；」って思ってダンバースフォローを止めてその手紙を確認したら、床に散らばっている手紙だった。さすがにセットされた手紙を持って来ちゃったら芝居が続かなくなるかな…って思って戻して、その手紙の行方を見守っていたら…マクベス夫人が舞踏会帰りでルンルンしながらやって来て、風呂桶にエレガントに座り、その手紙を読みだしたんです。ニコニコ顔で。あんな可愛らしく笑っている夫人、後にも先にも観たことなかった気がする。マクベスも夫人を愛しているけれど、マクベス夫人も基本、愛情からダンナに出世して欲しがっているんですよね。そういう意味では相思相愛の良い夫婦なんですよ。夫の武勲や魔女の第一の予言を知りニコニコしてる。
……え。待って？……この時、この手紙がきっかけで夫人は第一の予言を知ったんだ……。
他のマクベスの芝居を観ていると、マクベスが夫人にそそのかされてこの惨劇が起こった感がとっても強いんですが。Sleep No More に限って言うと……そうじゃないんじゃない？そんな妄想が膨らみます。手紙に何かしらの魔法がかかっているかもしれない…。嫌…。魔法がかかっていないにしても… もし第一の予言の話をマクベスから夫人が直で聞いていたら… そもそも、マクベスは夫人に第一の予言の話はしようとは思っていなかったのかもしれない…。もしも……もしも、マクベス夫人が第一の予言の話を聞かなかったら…… ダンカンを殺せと、マクベス夫人はマクベスをけしかけなかったかもしれない。いや。そして。マクベスも… 嫉妬の炎をあんなにも燃やすことは無かったかもしれない。
いや。物語に「もしも」は無いんですが。
シーンを観ずにこの手紙を読むのと、いろいろ知ってからこの手紙を読むのとではちょっと印象が違う…そんな感じなのでした。
